心に響く音楽とは ~ ひとつの答え ~

     
  聴く人の心に響く音楽を

市岡高校吹奏楽部がモットーとしている言葉です。
では『心に響く音楽』とはどんな音楽なのか?
この問いについては演奏する立場、聴き手の立場それぞれにおいて、さまざまな答えがあるものであり、また正解のないものであるように思います。
そう考えている中で、その答えの一つを感じることができたある演奏会でのお話です。

大阪府立淀川工科高校グリークラブ
ここ数年定期演奏会にはかかさずに伺っている合唱団です。
淀工といえば吹奏楽部なのですが、グリークラブ(男声合唱)もかつては幾度となく合唱コンクールの全国大会に進み、金賞を11度受賞するなど吹奏楽部にひけを取らない活動をされていました。
ただここで私が「かつては」とか「活動をされていた」と幾分過去形で書かせていただいたのには理由があります。
工科高校(工業高校)へ進学してくる子供たちはどちらかと言うと音楽の授業は「あんまりなぁ〜」と思っていたり、ましてやみんなで歌を歌うクラブなんて入りたがらない傾向にあるように思います。
そういう傾向をそのまま受けたわけではないでしょうが部員数は激減し、現在は合唱の形態(四部合唱)をなんとか成立させる人数での活動となっているのが現状なのです。
そんな活動を長年にわたって指導する高嶋先生をはじめ、ピアニスト、ボイストレーナー、OB達がもし部員が一人になっても、その部員が卒業するまではとサポートし続けておられます。

そういう彼らの演奏会。
OB達の演奏面や運営面での手厚いサポートなどをうけるものの、音楽的にと問われると、部員たちだけで歌えば私レベルの耳にも「いや、そこのハーモニーは・・・」と感じる部分も正直あります。
でも毎回この演奏会に結構満足して帰るのです。
へたすると翌日、翌々日まで頭の中を演奏が回っている事さえあるのです。

これって私には心に響いてくる音楽であると感じれます。
なにが私に響いてくるのだろう。ハーモニーが合ってないことすらあるように感じる演奏がどうして私に響いてくるのか。
そのひとつの答えを先日の演奏会で指揮の高嶋先生がエピソードとして話しておられました。

ある日学校へ練習に行くと先に始めていた現役部員たちの歌が聴こえてきたそうです。ハーモニーも音程も微妙にずれているけれども、彼らの歌声は素直でまっすぐに先生の心に届いたそうです。
その日辛く少し気持ちが沈んでいた先生は部員たちの声に心が震え、涙し、そしてそのことを部員たちにも話しをしたと語っておられました。

素直にまっすぐに届いてくる音楽

心に響く音楽のひとつの答えのような気がします。
楽譜通りに演奏されているわけではないかもしれない、
作者の意図を表現し切っているわけではないかもしれない、
まだまだ未完成な、発展途上の音楽であるかもしれないけれども、
心に響く音楽を創りだすことができる証のような気がします。

音楽が好きで(歌うことが好きで・楽器を演奏することが好きで)その素直な気持ちを込めて演奏された音楽。

素直にまっすぐに響いてくる音楽と言うのを私なりの解釈で言い変えてみたのですが、
心の響く音楽のひとつの答えのように思います。

 
     
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